自彊、息まず




























 「、お前はまた蜀へ行くつもりか?」

 「・・・そのつもりだけど、何か問題でもあるの?」






 そう言うは、司馬懿の言いたい事が全く解からない様である。

 勉強面等に関しては頭が回るのに、どうしてこういった事になるとこの娘は理解が出来ないのだ。






 「あのような場所はお前が行くような所ではない」

 「別に今まで何度も行ってるけど、大した問題はないよ? 蜀の人達、色々と私に良くしてくれるし」

 「そういう問題ではないっ!」




 

 大声を出すと、流石のも深刻そうな顔で司馬懿を見てきた。

 何か重要な問題でもあるのだろうか、という顔つきをしている。






 「、お前は養子とはいえ曹丕様の娘だ」

 「うん、そうだね」

 「つまり此処でのお前の地位は高く、それは例え他社へ行っても変わらん」

 「・・・でも私、此処では曹丕様の部下として居るからあまり関係ない気がするけど?」

 「そう思っているのはお前ぐらいだ。社員達から見れば、お前は曹丕様や甄姫様の次に地位が高い」






 あまりは自分の地位に関して興味がない。

 にとって大切なのは、自分が曹丕の役に立っているか、という事だけだ。

 だから他の者達が自分に対して敬語を使ったりすると、怪訝そうな顔をする。

 もっとも、司馬懿はに対してそのような行動は一切しようとは思わないので彼にはあまり関係のない事である。






 「・・・つまり、蜀のようなみすぼらしい場所に行くのは地位の高いお前には不似合いだという事だ」

 「何それ! 蜀の人達に失礼だよ!!」

 「私は事実を言ったまでだ」






 何故だかは蜀に愛着がある。

 どうやら蜀で出会った姜維のせいらしい。

 初めて蜀へと忍び込んだ日、姜維と仲良くなった、と楽しそうに話していた。

 仲良くなってこちらの情報を聞き出す策かもしれないと何度も忠告したが、は一度も耳を貸さない。

 曹丕が司馬懿と同じ事を言ったが、よりにもよって曹丕にすらその件に関しては聞かなかった。






 「もしかして仲達は、まだ姜維が私に策の為に近づいたと思ってるの!?」

 「いつ私が奴を信じたと言った」

 「絶対に姜維はそんな事しない!! 仲達が何に関してもそういう方向で考えるのが原因なんだから!!」






 はそう言って、その場から走り去ってしまった。

 嗚呼、本当に何も解っていない娘だ。






 (め・・・どうしていつも奴はこうなのだ)






 姜維の件に関しては、全くの嘘だ。

 別の考えがあって、を蜀へ行かせたくはない。

 本人は自覚していないが、明らかには姜維に恋心らしきものを抱いている。

 話を聞く限り、姜維も同じだろう。






 (これ以上敵が増えるなど、あってはならぬ)






 同じ会社の張コウでさえ、目障りだというのに。

 他社で、しかも両思いなど。

 これでは自分の勝機がなくなってしまうではないか。






































 後書き



 司馬懿は本心を口に出さないといいです。

 色々とした事を思ってるけどそれを言わないで、やる事成す事がそれに繋がっているっていうのが理想だったりします。

 こんな駄文ですが「無双カンパニー」様に捧げます・・・!